風に弱いのでは?
天井の高いテントは風の影響を受けやすい。そう考える方は少なくありません。
交差したXフレームが風圧を分散し、6000系アルミポールがしなやかにたわみながら力を逃がします。硬さで受け止めるのではなく、流して耐える設計です。
一張のテントが生まれるまでに、どんな人の思いが重なったのか。
その舞台裏を、あなたにも知ってほしい。

いい道具は、つくり手だけでは完成しない。構想を形にしてくれる工場の人たちがいる。フィールドで使い、率直な感想を聞かせてくれるキャンパーがいる。そうした出会いを、次のモノづくりへつなげていく。
TENTFACTORYが大切にしてきたのは、つくり手と使う人の距離の近さです。新しい商品をつくることが難しくなった今、それでも、どうしても形にしたいテントがありました。
かつて手がけたドーム型2ルームテントの良さを見つめ直し、今のキャンプに合う使いやすさを重ねた一張です。このページでは、完成品からは見えにくい開発の判断、工場と積み重ねた時間、そして使ってくださる皆さんへの思いをお伝えします。
イベントやキャンプ場で聞きたいのは、スペックへの評価だけではありません。どこで、誰と、どんなふうに使っているのか。そんな日常の話が、次の商品を考えるヒントになることがあります。
構造や使用シーン、スペック、リターンとお届け予定。
開発を続けた理由、工場との約束、フィールドで受け取った声。
TENTFACTORYは、ブランドの立ち上げ当初から「工場と直接対話し、使う人とも直接対話する」という現場主義のモノづくりを大切にしてきました。
ところが近年、アウトドア市場では値引き販売や過剰在庫の処分が続き、販売店も在庫を抱えることに慎重になっています。円安やポリエステル素材の価格上昇も、海外で生産するテントのコストを押し上げました。
私たちの試算では、従来の流通・開発方法のまま、求める品質を守って新商品を送り出そうとすると、製品価格が従来の2〜3倍になる可能性さえありました。価格に合わせて品質を落とすのか。それとも、つくること自体を諦めるのか。そんな二者択一を迫られているように感じました。
厳しい状況にあるのは、日本のブランドだけではありません。共に歩んできた生産委託工場にも市場の変化が及び、新しい企画が動かなければ、事業の継続さえ難しくなりかねない。長年一緒にモノづくりをしてきたからこそ、その現実を他人事とは思えませんでした。
それでも、企画を止めたくはありませんでした。工場で積み重ねた信頼も、フィールドで出会った皆さんの声も、ここで途切れさせたくなかったのです。
それでも、
企画を止めたくはなかった。

この10年ほどで、2ルームテントはトンネル型が広く使われるようになりました。一方、かつて主流だったドーム型テントになじみのないキャンパーも増えたように感じます。だからこそ、ドーム型の良さを今の視点で見つめ直したい。そう考えていました。
TENTFACTORYでも、ブランド立ち上げ初期に「ダブルドームテント」という2ルームテントを企画・販売しました。好評をいただいた一方で、前後にドーム構造を持つため組み立てが難しく、設営中にポールが折れることもありました。側面の強度にも課題を感じていました。
一人で設営できても、組み立てや全体のバランス調整に手間がかかる。前室にも、思うような余裕を確保できない。そんな負担を、使う人に残したままにはしたくありませんでした。
求めたのは、ドーム型が持つ空間の魅力を活かしながら、設営をよりスムーズにし、側面の強度にも配慮した新しい2ルーム。かつての形をそのまま繰り返すのではなく、経験を踏まえて今の使いやすさにつなげる。それが『GROUND ARCH-X』の出発点です。
かつて手がけた一張が、
次の一張の原点になった。
新しい販売の形を探す中で選んだのが、Makuakeです。従来のように販売数量を見込んで商品を先に生産する方法では、在庫を抱えるリスクも価格に織り込まざるを得ません。応援購入を通じて使う人と直接つながることで、その前提を見直せると考えました。
もちろん、在庫や生産に伴うリスクが完全になくなるわけではありません。それでも、応援購入によって事前に需要を確かめられれば、過剰な在庫を見込む負担を抑えられます。その分を品質の確保と、手に取りやすいリターン価格につなげたい。それが、今回Makuakeを選んだ大きな理由です。
この挑戦を支えてくれた、もう一つの存在がいます。前職時代から約30年、共にモノづくりを続けてきた海外の生産委託工場です。現場へ足を運び、顔を合わせて話す。一度仕事を始めた工場とは、簡単に取引先を変えない。そうして時間をかけて、互いの信頼を積み重ねてきました。
小さな数量からモノづくりを始めることは、TENTFACTORYにとって初めてではありません。これまでも10点限定などの小ロット企画を形にしてきました。しかし、アウトドアブームの中で業界全体が大量発注・大量生産へと傾き、私たちが得意としてきた「コンパクト生産」も、次第に難しくなっていました。
日本の市場環境と私たちの状況を工場に伝え、「この先、どうすれば新しい商品を世に出せるか」を数年にわたって話し合ってきました。工場も厳しい状況にある中で、双方が歩み寄り、今回も30張からの生産に協力してもらえることになりました。これは偶然の幸運ではなく、長年の関係があってこその決断だと思っています。
生産は、生地の手配から始まり、裁断、縫製へと進みます。材料面の準備を進め、2026年10月時点で、先行30張分については、同年内のお届けに対応できる生産の段取りを工場と確認しました。実際の発送・お届け予定は、Makuakeの各リターンに記載された条件を優先してご確認ください。
30張。大きな数字ではないかもしれません。しかし、その一張一張の先には、フィールドで使ってくださる人がいます。だからこそ、今回の30張は単なる販売数量ではありません。つくる人と使う人が、もう一度直接つながるための一歩だと思っています。

TENTFACTORY / THE MAKING OF
生地の選定では、従来よく採用してきたタフタ織と、オックスフォード織のどちらにするかを検討しました。コストを抑える選択肢もありましたが、今回は150Dのポリエステルオックスフォード織りを採用しました。生地を薄くしてコストを抑えることだけが、答えではないと考えたからです。
どの生地を選ぶかは、その道具と過ごす時間にも関わります。生地の質感やしなやかさは、写真や数字だけでは伝わりきりません。長く使っていただきたいからこそ、触れたとき、使ったときの納得感を大切にしました。
もう一つ、あえて残したのがテントの裾に設けるスカートパーツです。必要かどうか、意見が分かれる装備かもしれません。それでも私自身、寒い日や雨の日のキャンプで、そのありがたさを感じてきました。
すべての方に同じ使い方を勧めたいわけではありません。ただ、自分がフィールドで役立つと感じてきたものは、簡単に省きたくなかった。目立たない部分にも、つくり手の判断が表れると思っています。

広さと設営のしやすさを両立するうえで、難しかったのがアルミポールの選択でした。太くすれば強度は高めやすい一方、コストや収納サイズに影響します。反対に、細いポールを増やせば組み立てが複雑になります。
目指したのは、キャンプ場に着いてからの設営の手間を減らし、くつろぐ時間を増やすこと。広がりのあるリビングと扱いやすさの両方を考え、アーチとXを組み合わせる構造を追求しました。
前室のドアも、見直した部分の一つです。室内の横幅を広げると、ドアも大きくなり、開閉の手間が増えます。全開にした際のプライバシーも気になりました。そこで、半分だけ開けられるセパレート仕様を採用しました。
ロゴも数と大きさを控えめにし、配置を見ればテントの向きが分かりやすいよう工夫しました。小さなことですが、設営時の迷いを一つでも減らしたかったのです。
試作と修正にも、以前以上に慎重さが求められました。海外の生産現場にも市場環境の厳しさが及ぶ中、一つひとつの工程を確かめながら進める。その積み重ねが、工場と私たちの双方にとって大切でした。完成したテントの裏側には、そんな地道な判断があります。
強度・設営性・収納サイズ・コストのバランスを探る。
大きな前室の開放感と、プライベートな空間の両立。
装飾を控え、設営時に向きを判断する手がかりにも。

言葉にすると一行の構造です。けれど、従来の形と並べてみると、何を変えたのかがはっきりします。
強度を保つためにフレームが傾き、立って動ける床が両端から削られる。
壁を立ち上げることで、床面積がそのまま居住空間になる。
互いの弱点を、互いの長所で打ち消し合う。ポールの本数を増やさずに剛性を確保したから、奥の部屋まで天井を下げずに済みました。広さ・強さ・設営のしやすさは別々の機能ではなく、ひとつの構造から同時に生まれた結果です。
図面では、広さを数字で表せます。しかし、その空間が本当に心地よいかどうかは、実際に使わなければ分かりません。
私自身、『GROUND ARCH-X』を何度もフィールドに持ち出し、設営とキャンプを重ねてきました。大きさのわりに設営はスムーズで、最高部215cmの高さと前室のゆとりは、想像以上に心地よいものでした。一緒にキャンプをした仲間からも、室内の広さは好評でした。
企画時には4〜5人での使用を想定しました。一方、2人で使ったときのゆとりも格別でした。ペアや友人同士でも、ファミリーでも。人数や過ごし方に合わせて、思い思いに使っていただけたら嬉しいです。
使ってみて便利さを実感したのが、室内のハンギングチェーンです。ランタンやハンガーを掛けられるので、私もいつも何かをぶら下げています。こうした小さな使いやすさが、キャンプの居心地を支えるのだと思います。
ただし、最初にドーム部分を立ち上げる際は、慌てず、ゆっくり作業していただきたいところです。長く細いポールは、丁寧に扱う必要があります。気に入っている点だけでなく、使うときに注意してほしい点も、つくり手としてきちんと伝えたいと思っています。
FIELD NOTE / 本人の実感「ハンギングチェーンには、いつも何かが掛かっています。」

ある日の使い方が、次のギアのヒントになった。
以前、キャンプテーブルを低くして、子どものお絵描き用に使っているという話を聞きました。
カタログの仕様だけを見ていては、気づきにくい使い方でした。それ以来、テーブルを企画するときは、キャンプ場だけでなく、日常の暮らしにもなじむサイズやデザインを意識するようになりました。
道具が、どこで、どんなふうに使われているのか。そこには、つくり手だけでは気づけない発見があります。『GROUND ARCH-X』が皆さんのフィールドで、どんな時間を生み出すのか。いつか、その話も直接聞けたら嬉しいです。
グランドアーチXの設営手順を、はじめから張り上がりまで。押さえておきたいポイントとあわせてご紹介します。
大きなテントには、決まってついて回る不安があります。そのどちらにも、構造で答えを出しました。
天井の高いテントは風の影響を受けやすい。そう考える方は少なくありません。
交差したXフレームが風圧を分散し、6000系アルミポールがしなやかにたわみながら力を逃がします。硬さで受け止めるのではなく、流して耐える設計です。
大型テントは設営が大変。それが、購入をためらういちばんの理由かもしれません。そこを構造から見直しました。
大型テントを扱うのが初めての方でも、立ち上げることができます。
気に入っていただけたなら、長く使う一張として、納得して選んでほしい。広さだけでなく、設営時の注意点や、使い続けるための考え方もお伝えします。
大型の2ルームテントです。区画の広さだけでなく、張り綱を含めた設営スペースも事前にご確認ください。
設営時、特にドーム部分の長く細いポールは、慌てず丁寧に扱ってください。収納サイズや重量、設営条件も事前にご確認ください。
ダクトホールは、冷暖房機器の安全性を保証するものではありません。機器の取扱説明書と使用条件を守り、火災や一酸化炭素中毒の危険に十分ご注意ください。
製造時には、一張ずつ丁寧に検品することを大切にしています。また、長く使う中で必要になる交換用パーツの在庫確保も重視してきました。
お届けして終わりではなく、その先も使い続けていただくことを考える。それもTENTFACTORYのモノづくりです。
※修理・交換部品の提供範囲、保証条件は製品や時期によって異なります。具体的な対応は公式窓口へご確認ください。※寸法・付属品・安全上の注意、お届け条件はMakuakeの最新掲載内容をご確認ください。

商社での20年間を含め、30年以上にわたりアウトドア用品の商品企画に携わってきました。中国・韓国・台湾などの生産現場へ自ら足を運び、数千アイテムの企画・開発を経験してきました。その経験を土台に、今回の挑戦は、まず30張の生産から始めます。
ここ数年、市場環境の大きな変化などにより、新商品を思うようにお届けできない時期が続きました。楽しみに待ってくださっていた皆さんには、そのことをお詫びしたいと思います。
2025年から少しずつ新しい企画を再開しました。まだ乗り越えるべき課題はありますが、2027年以降、より本格的に新商品を提案していきたいと考えています。
私たちが大切にしてきたのは、「品質・機能・価格のベストバランス」です。目新しさだけを追い求めるのではなく、これまでのキャンプ道具が培ってきた基本や使いやすさを見つめ直し、今の暮らしやフィールドに合う工夫を重ねる。その姿勢を、これからも大切にしていきます。
以前、私が企画したギアを、今でも大切に使ってくださっている方に出会うことがあります。流行は変わっても、基本に忠実な道具は長く使っていただける。そんな出会いのたびに、モノづくりの原点を確かめる気持ちになります。
だからといって、昔の形にとどまりたいわけではありません。現場を歩き、使う人の話を聞き、これまでの良さに新しい機能やデザインを重ねていく。『GROUND ARCH-X』は、その考えを今の2ルームテントとして形にした一張です。
キャンプ経験が豊富な方には、新しい開放感を。これから始める方には、設営のしやすさと、その先にある楽しさを。どちらの方にも、ご自身のスタイルで使っていただけたら嬉しいです。
まずは私自身が、開発の背景や現場で考えたことを、自分の言葉で伝えていきたい。そしていつか、使ってくださる方と同じフィールドで過ごし、使い方や感想を直接聞ける機会もつくれたらと思っています。
今回のMakuakeは、テントをお届けするためだけの挑戦ではありません。つくる人と使う人の距離を、もう一度近づけるための一歩でもあります。
これまでTENTFACTORYを選んでくださった皆さんも、このページで初めて知ってくださった皆さんも。もし今回の挑戦に共感していただけたなら、この先をご一緒できたら嬉しいです。
今回の最初の30張から、使う人の声を大切にするモノづくりを、また一歩進めていきます。
つくる人と、使う人と。
ここから、次の一歩へ。
一張のテントが生まれるまでに迷ったことも、選んだ理由も、完成した製品と同じように残しておきたい。このページは、Makuakeでのプロジェクトが終了したあとも、TENTFACTORYの開発記録として公開を続けます。
長年の経験や現場との信頼関係は、今の時代にもモノづくりを支える力になる。今回の取り組みを通じて、改めてそう感じています。価格の背景や仕様を決めた理由も、完成した製品と共に残していきたいと考えています。
これからの新商品についても、なぜつくろうと思ったのか、何を残し、何を変えたのかを、できるだけ言葉にして伝えていきたいと考えています。記事を中心に、機会があれば動画やフィールドでの様子も紹介していきたい。まずは、私たち自身が発信することから始めます。
その先で交わす会話や、皆さんの使い方の中から、また新しい工夫が生まれるかもしれません。このページも、つくり手と使う人がつながる、小さなきっかけになれたら嬉しいです。
TENTFACTORY / THE MAKING OF『GROUND ARCH-X』の構造・仕様、Makuakeでのプロジェクト内容やリターン、お届け条件については、公式プロジェクトページでご案内しています。プロジェクトの公開・受付・終了状況にかかわらず、リンク先の最新情報をご確認ください。
GROUND ARCH-X|Makuakeプロジェクトを見る